米財務省のティモシー・ガイトナー長官がこのほど述べたところによると、中国の政府主導の貿易システムは世界の貿易システムにとって脅威だという。ガイトナー長官は世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも、国有産業に対する補助金といった中国の貿易行為は貿易パートナーの利益を損なうものだと述べている。
中国商務部がまとめた統計によると、2011年に米国が大陸部との貿易で打ち出した新たな貿易救済措置は10件に上り、うち5件は4月に、2件は6月に打ち出された。最新のものは11月18日に打ち出された中国産太陽電池(ソーラーボード)を対象とする反ダンピング・反補助金調査だ。貿易摩擦が最も多発した2009年に米国が大陸部との貿易で打ち出した貿易救済措置は12件だった。
今年11月には米大統領選がスタートする。ある分析によると、今年は選挙イヤーで、共和党の候補者は中国をテーマにあれこれと騒ぎ始めている。オバマ大統領は対中貿易問題で強硬な態度を取り、一部の有権者を引きつけるとともに、共和党に口実を与えないようにしているのだという。また別の分析によると、大統領選を背景として、米国の経済成長が止まったままで、失業率が高止まりすれば、米国議会の忍耐力は底をつき、世界が全面的な貿易戦争に突入する可能性が高まるという。
世界的な戦略的投資家である米国の財政経済アナリストのマーティン・ハッチンソンが警告するところによると、オバマ大統領が中国などの貿易行為を専門に調査する新たな機関を設置して、米国の輸出を守ろうとしていることにより、危険な世界貿易戦争が引き起こされる可能性がある。これは貿易保護主義にほかならず、報復を受ける可能性があるという。