中国産自動車の世界進出は、中国の発展を示すメルクマールのひとつといってよいだろう。自動車産業は国家の経済力を測る上で重要なものである。たとえばアメリカの自動車産業はアメリカの屋台骨と言われている。日本が世界市場を席巻し、「アメリカを買う」とまで言っていたとき、「道のあるところにトヨタあり」というスローガンがあった。だからこそ、中国産自動車の世界進出は歓迎すべきことであり、同時に、中国が世界の経済大国になったことを象徴するものなのである。
自動車はほかの製品と異なり、低価格だけで市場を制することはできない。自動車はその国の中で大きな位置を占めるものであり、販売網の構築や補修サービス、品質保証サービスを徹底させなければならない。そして真に市場を確保するためには重要なのが、消費者の口コミである。ラテンアメリカ市場で中国産自動車が登場した後、徐々に評判になっていった。価格が安いし、見た目も悪くない。品質も保証されている。これらによって、多くのラテンアメリカの消費者が初めて「新車」を買うようになった。それまで彼らが買っていたのは中古の日本車だったのである。そのため中国産自動車の口コミも広がっていった。これこそ、現在中国産自動車がラテンアメリカで成功している要因である。