株式と不動産への投資が減少
2011年は「インフレに勝つ」が経済界のキーワードだった。中国中央銀行が実施した一連の緊縮策は、消費者物価指数(CPI)だけでなく、低付加価値である従来の製造業にも大きな打撃を与えた。
宏源証券の調査によると、貸付規模の縮小で、中小企業に対する貸付金利は最高で30%上乗せられた。
資金調達が難しくなり、金利も上がったことで、一部の投資資金が実体経済からその他の投資分野に流れた。しかし、従来のように資金が不動産と株式に流れるケースは激減。不動産の引き締め策が実施され、不動産価格は急速に低下、中国の調査会社、胡潤(フージワーフ)研究院のレポートによれば、不動産に投資すると答えた富豪は2011年の37.9%から26.7%に減少した。
また、国際市場の低迷や欧米の債務危機、中国経済成長の鈍化、引き締め政策などの影響を受け、上海と深センの株式市場は2011年、2割以上も下落した。さらに、債券市場も株式市場と同じく悲惨な状況に見舞われた。株式ファンドは2011年、平均損失幅が25%達し、過去10年で最悪の成績だったが、債券ファンドも平均収益が-2.29%となり、過去6年続いた黒字業績にピリオドを打った。胡潤研究院のレポートによれば、今年株式に投資すると答えた富豪は、昨年の24.7%から20.4%に減少した。
2012年の株式・債券市場について、市場関係者はやや楽観的な見方を示し、多くの人が回復軌道に乗ると予測している。一方で、多くの投資家が慎重な見方を示し、2012年に市場が活発化する可能性は低いとの見方を示している。