◆シンガポール国立大学東アジア研究所所長:「頂層設計には社会の力が必要」
シンガポール国立大学東アジア研究所の鄭永年所長は、次のように指摘した。
経済構造の調整について長年議論されてきたが、なぜ予想されていた成果を収められなかったのか。これには3つの原因がある。
まず経済についてだ。なぜ内需と消費を拡大できないのか。その背景には、国有企業と民間企業間の不均衡がある。中国の民間企業は今日、国有企業へのすがりつきか、海外への投資を開始している。いかに国有企業を改革すべきか。私は全面的な私有化には反対だ。国有企業に対して鳥籠経済(鳥籠は国家計画を形容)し、国有企業を鳥籠の中に入れるべきだ。
次に、現在の経済政策と社会政策は調和しておらず、経済と社会の不均衡を招いている。市場化すべき所で市場化を行わず、市場化すべきでない社会関連領域で高度な市場化が行われている。社会関連領域では、経済政策を軽率に用いることはできない」
最後に、国家と社会の不均衡だ。頂層設計(国家理念および構造を再構築する、戦略的政策立案を指す)の際に、社会の力をないがしろにすれば、何を議論しても意味がなくなる。政府は社会と企業に権力を分け与えるべきだ。社会の力が効果的に活用されなければ、頂層設計の実施継続は困難だ。