英『フィナンシャル・タイムズ』ネットサイト3月29日付の記事『米・英・仏・日石油備蓄放出協議』の内容を以下に紹介する。
世界の石油輸入大国は戦略石油備蓄の協調放出を巡り検討に入っている。サウジアラビアの介入によって、昨日の原油価格は大幅に下落し、収縮する欧州経済にとっても、ガソリン価格が1ガロン4ドルのアメリカの「自動車族」にとっても息継ぎできる希望が見えた。
フランスのエリック・ベッソン・エネルギー相は、「フランスとアメリカ・イギリス・日本は市場に向けて数十億バレルの石油を放出することについて協議を行なっている」ことを明らかにした。また、サウジアラビアの石油相も「できる限り、原油価格を低く抑えるよう努める」と断言している。
サウジアラビア石油鉱物資源大臣アリ・ナイミ氏は英『フィナンシャル・タイムズ』で、「とどのつまり、サウジアラビアは原油価格がもっと低くなることを望んでいる。世界経済の回復に害を及ぼさない程度の合理的な価格を目指したい」と述べている。
うなぎのぼりのエネルギー価格は、アメリカ経済弱体化からの回復、バラク・オバマ大統領の再任にとって脅威となる。イランの核開発問題の緊迫化は、間違いなく今回の価格高騰を押し上げている。
各国の討論はまだ初期段階であり、市場への備蓄放出は決定事項ではないが、協議内容に詳しい政府関係者によると、今後3ヶ月以内にも実行に移す可能性がある。
最初、アメリカはドイツ(世界で3番目に石油備蓄量が多い)の反対に遭ったため、フランス、イギリス、日本に賛同を求めた。「フランスはこの提案に賛成だ」とベッソン・エネルギー相は述べている。
この4カ国が合意に至った場合、原油価格の大幅な下降をもたらす可能性がある。昨日のブレンド原油価格は2ドル減の1バレル123.53ドルとなった。これはアメリカが原油在庫の大幅増加を発表しため、下落傾向となった。
政府関係者によると、備蓄放出に関して、昨年のリビア内戦時に実施された時よりも放出量は多い可能性があり、放出の時期については、欧州連合(EU)が7月1日付で全面的に実施するイラン原油の禁輸措置に合わせると思われる。
ホワイトハウスの関係者は、「我々が何度も言っているように、これは公の場での選択であるが、未だに何も決まっていないし、具体的にどのように行動するかも確定していない」と述べた。ドイツのフィリップ・レスラー経済相は、「ドイツは『真に現物の不足』が発生した状況下でしか石油備蓄を放出することはできない」と断言している。
先進国の石油監督機構である国際エネルギー機関(IEA)はこの行動に対し、未だに賛同を示していない。
原油価格は近日、2008年以来の高水準に達しており、世界最大の原油産出国サウジアラビアの激しい反発を招いている。ナイミ氏は人々の石油不足への懸念に対し「理性的でない。『神話』のような話だ」と指摘している。
サウジアラビアは既に石油の生産量を日量約1000万バレルに拡大する予定であり、これは30年来の高水準である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月29日