厚生省の統計結果によると、東日本大震災の被災地となった岩手・宮城・福島の3県で、3月1日現在も依然として35万人の被災者が帰る家を失っており、27万6000人が県内の仮設住宅で、7万3000人が県外の仮設住宅で生活しているという。
2011年年末の時点で、被災3県の住宅再建の着工率は「ゼロ」であった。今年の2月になって、被災地で初めての住宅再建プロジェクト、福島県相馬市の180戸の再建が開始された。被災地のうち、再建を待つ住宅が最も多いのは宮城県で、2012年に再建を開始したのは300戸のみに留まっている。被災地の住宅再建はなぜこれほど遅れているのか。
まず、意見の統一が難しいことが挙げられる。阪神淡路大震災後の住宅再建は、入居の速度のみを優先し、元来の住宅区の枠組みを解体したため、近所関係が疎遠になり、「孤独死」等が生じた。この教訓を活かし、今回の再建は元来の住宅区を維持し、集団移転を目指している。しかし住民の意見の統一が困難となっている。若者は新しい高層マンションへの引越しを望み、高齢者は現地での再建を望んでいる。一戸建てを望む住民もいれば、マンションを望む住民もいる。家計に余裕がある家庭は広い住宅を求め、家計が思わしくない家庭は小さな住宅を求めている。これらの意見のばらつきがあり、議論を重ねた結果、最終結論が今なお出されていない。