4月1日付でソニーの新CEOとなった平井一夫氏が、着任早々苦しい立場に立たされた。昨年のソニーの決算は29億ドルの赤字が予想され、従来予想を12億ドル上回ったのだ。
赤字を止め、黒字に転換することが、平井氏に課せられる焦眉の問題である。イノベーションの欠如がもたらした企業の疲弊した現状に対し、平井氏の打つ手は限られている。今のところ平井氏のできることは2つの方策のみだ。一つはリストラであり、もう一つは不採算部門の撤退である。
業界筋によると、ソニーは今年中に1万人のリストラを世界規模で行う。このようなコストカットは確かに短期的には有効だ。しかし長期的にみれば、ソニーの赤字体質がこれで解決されることにはならない。