なぜ鴻海に身売りしたのか
シャープが鴻海に身売りしたのには、少なくともいくつかの要因がある。
まず日本の家電産業はすでに衰退期に入っており、日本のお家芸である「垂直統合」を何度も行っても挽回することができなくなった。海外にさらなる活力を求め、大きな潜在市場を抱える企業と協力することこそ、起死回生の方策なのである。
かつて日本企業が大きな挫折を味わったとき、政府であれ民間であれ、一貫して国内企業同士の合併が行われた。政府官僚の指導によって民間企業の大規模な合併が行われることさえあった。新たに区分された勢力範囲と地盤は、大企業の集団的利益を守り、強固にしていくことになった。
このような「垂直統合」方式は、淘汰される企業を救うことができたが、競争の原理を排除し、商品の自由選択を消費者から奪うものでもあった。日本のIT製品は、携帯からパソコンまで技術的には一流であったが、海外で通用するユニバーサルな機能がないことが致命傷となった。
「アジアの活力」を吸収する