中国政府の強力な不動産市場規制政策は、不動産企業に戦略の調整を強いるだけでなく、不動産市場の競争構図にも重大な変化をもたらした。4月の不動産企業売上高ランキングの「席順」には既に変化が生じていた。長年業種の王座を独占していた万科の単月売上高はたったの74億4000万元で、中海、保利、恒大それぞれに超されている。また1―4月の売上高ランキングからも「多くの実力者が台頭し、トップ争いを繰り広げる」場面が見て取れる。16日付中国証券報が伝えた。
◆「品質スキャンダル」で競争の重心が変わる
「皆十全な準備をしておかなければいけない。万科が品質スキャンダルによって2番手、3番手へと後退する可能性がある」と、5月11日に開催された株主総会で、万科集団の王石明取締役会長は明確に述べた。
2012年に入って以来、万科は嫌と言うほど様々な「品質事件」に悩まされていた。大騒動となった「安信毒地板門スキャンダル(万科が採用している安信ブランドのフローリング材に基準値を超える毒性の強いホルムアルデヒドが含まれていた問題)」、「紙地板スキャンダル(住宅の内装に「紙」を使用していた問題)」と「金色領域質量スキャンダル(万科が開発した深センの団地の品質問題)」などはここ最近発生した問題だ。1―4月の売上高で、万科は「追いつけ追い超せ」の状況に苛まれていた。1―4月、万科の売上高は前年同期比11.3%減の385億1000万元、2位の中海地産の売上高は同35.8%増の323億元で、その差は既に60億元近くまで縮まっている。
不動産市場規制政策がもたらした最大のメリットの一つは、ディベロッパーが心を落ち着かせて商品開発ができるということだ。SOHO中国の潘石屹取締役会長は「不動産業はここ10年余り、急速な成長を遂げてきており、多くのディベロッパーは商品の品質をより良くするための時間など持てず、企業の商品力を研究し、強化する原動力も無かったのだ」と話す。企業発展の重点は「土地購入―資金調達―再び土地購入」という循環の中に置かれていた。不動産開発の後期工程こそ「丁寧な仕事で精巧な商品を仕上げる」必要があるが、住宅の品質、地域に適した設備、住宅地の自然環境などの部分におけるディベロッパーの重視度は全く足りないと言える。
今後、不動産開発の重心は徐々に計画立案、商品、顧客層の選定に移ることが予想される。不動産企業は自発的、或いは受動的に会社の戦略を調整し、自社のコア競争力強化策を見出すことを目指していくだろう。