この数字だけでも、フィッチ・レーティングスの日本国債格下げ理由が分かろうというものだ。だが、日本国債は今のところリスクコントロールが可能な段階にあり、短期的な変動を嘆くよりも、長期的な視野で、キャピタルゲインを見据えるべきである。それというのも日本国債は特殊な金融商品だからだ。欧米諸国とは異なり、日本国債への投資者は国内投資者が多くを占めるという特長がある。また12兆ドル近くにのぼる国民貯蓄に、1,400兆円を超える個人金融資産は、国内余剰資金が潤沢にあることを示している。
さらに、日本の投資者が自国国債の投資に熱心であることは、日本政府がデット・ファイナンスの信用性に高いことを意味している。世界最低レベルと言われる名目金利での資金調達が可能な日本に、欧州諸国のような債務危機が襲うとは、少なくとも近い将来はあり得ないのである。