◆通貨政策の調整余地拡大か
証券会社研究報告は、CPIの下げ幅が拡大したことで、通貨政策調整と価格改革の余地が広がると見ている。海通証券報告は、「仮にCPIの低下状況が予想を上回るとすれば、通貨政策調整と価格改革の余地は増大するだろう。CPIの低下速度が予想より速ければ、現在の経済成長の減速圧力が増していることを踏まえ、経済に対する通貨政策の支援は強化されることになる。中央銀行は更なる流動性の放出によって、市場金利の低下に関する市場操作ひいては利下げを実施する可能性がある。また、インフレ圧力の緩和は資源関連製品価格の改革、新たな精製油価格形成メカニズムを打ち出すペースを速め、水・電力・ガスの価格改革も展開されるだろう」との見方を示した。
上海証券は、物価変動の状況から、「5月のCPI前年比伸び率は3%の臨界点まで低下し、利下げの条件が日増しに整っている。経済低迷に加えて物価水準の低下は、金融当局が価格刺激政策を生み出す空間を与えた。現在の銀行の貸付意欲が強くない背景の中、量的緩和政策の実施が経済に与える刺激効果は限られる。価格面からのアプローチが試みられる確率が高くなっている」と分析する。
航天証券は、「国内の物価水準の低下が比較的速い情況で、中央銀行は更に通貨政策を強化する可能性がある。今、中央銀行は主に公開市場操作によって流動性を調節している。物価が予想を上回って下落すれば、中央銀行が預金準備率を引き下げる確率が高まる」と見ている。
「中国証券報」より 2012年6月1日