デザイナーの郭培(音訳)さんは、高級服のデザインに必要なインスピレーションを探るため、海外に滞在していた。彼女はこのほど、中国文化に創作の焦点を絞ることを決めた。彼女の勤務する企業はこの方針変更を受け、影響力を高めつつある中国高級ブランドの仲間入りを果たした。これらのブランドは、数百年に渡る中国文化を重視し、存在感を示すことに成功した。AFP通信が伝えた。
過去数十年間に渡り中国は世界の工場であり続け、数え切れないほどの工場が世界に向けて安価な製品を提供してきた。「中国製」という標記は、低品質を連想させることが多かった。しかし現在、郭さんの勤務する企業のような中国企業はこの標記を武器とし、中国の高級ブランドを樹立し、中国人富豪にシャネルやボルドーのワインを手放すよう促している。
コンサルティング会社A.T. カーニーの関係者は、「数千年に渡り、『中国製』は高い品質と優れた加工技術の代名詞であったが、20世紀から低迷期に入った。数量とコスト削減が主流となり、材質や加工技術がないがしろにされた。しかしながら、中国経済の高度成長に伴い、中国企業は本土の数世紀に渡る文化を売り出し、新たな高級ブランドの樹立を目指している」と語った。
コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは、中国贅沢品市場の価値が100億ドルに達し、2015年までには市場価値が270億ドルに達すると予想した。同市場には中国高級ブランドが15-20ブランド存在しており、海外企業と共に世界最大の贅沢品市場で競合する構えだ。これらのブランドは、中国の伝統的な加工技術と材質を受け継いでおり、現在中国人の好みに合わせている。
広告会社ReuterPRの関係者は、「各ブランドは、中国人のプライドと愛国主義により、市場を拡大することができる。中国では現在、目が高い新たな消費者が現れており、独特な商品を求めている。彼らが華美な欧米ブランドに魅力を感じることはない」と指摘した。
しかしながら、あるアナリストは「中国高級ブランドは5%の市場シェアしか占めておらず、国内外での認知度を高める上で数多くの課題が存在する。愛国主義は大きな売りとなるが、多くの中国人は欧米ブランドを、品質とステータスの象徴としている」と述べた。A.T. カーニーの関係者は、「多くの中国人にとって、中国製はやはり低品質の代名詞だ。中国ブランドと海外ブランドを選択する際、迷わず海外ブランドを選択する消費者が少なくない」とした上で、「若い中国人による影響が転換点となる。彼らは80年代生まれで、より多くの上質な中国製品を手に取ることができ、自信を持って購入できる」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月11日