世界奢侈品協会(World Luxury Association)の最新報告によれば、昨年の中国本土における贅沢品市場の消費総額は、既に107億ドルに達し、全世界シェアの1/4を占める。2012年には、中国が日本を抜き、世界第一位の贅沢品消費国になると予想されている。
総合的に贅沢品大国になれるということは、少なくとも、国民の一部は確かに豊かになったことの証明であるが、依然として、大多数の人々は、一人がヴィトンのバッグを持ち、一家全員がインスタントラーメンを食べるような、身の丈以上の消費を若者達に奨励することで、自国が豊かになる前に贅沢になってしまうのではないか、と心配している。
国民一人当たりのGDPが世界100位以下にある時に、先に豊かになった少数の人々が、祖国を代表して贅沢品消費のトップの座を奪取したことは、明らかに、価値観の喪失を露見させるものであった。しかし、道徳的論調が弱まれば、商業的観点から見ても、また別の危機が潜んでいる。
現在、関税逃れのために、国民は毎年、海外で2000億人民元を贅沢品の購入に費やしている。王位を奪われた日本は、GDPで中国にあっさり抜かれた時の気落ちから、意外にも、中国人民に理解と祝福を示してくれている。『読売新聞』によれば、今回の出来事には2つの良い点がある。まず、日本が、もう再び贅沢品に囲まれた生活を追及することなく、本来の勤勉節約の意識を取り戻すこと。次に、絶え間ない経済発展の中にある中国国民の贅沢品に対する憧れは、日本にとって1つの商機であること、である。
これはまず、痛切な忠告である。贅沢品の消費を追及してきた先輩である日本人、その輝かしい豊かさの結果が20年の経済停滞だ。しかし、更に重要な点は、日本人は成金のように海外の贅沢品を買い漁るのと同時に、国内の贅沢品産業の振興をも実現してきた。現在、日本人は潜在的顧客ターゲットを、金に事欠かない中国人のお金持ちにしっかりと定めている。
世界の産業チェーンのローエンドにある中国が、今日の奇跡を築いてこれたのは、勇敢で勤勉な国民が鍵となっていた。しかし、労働力での利点が徐々に失われ、産業構成の調整や全体的なレベルアップが企業の将来的な生存の主たる拠りどころとされる状況に直面し、中国の先に豊かになった人々は隣国日本を手本とし、単純な贅沢品消費者から商品の製造者、ブランドの創造者に転化し、東方文化の魅力を利用して、海外のお金持ちから大儲けをすることができるだろうか。(石術思)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月9日