大前研一:今の中国はまるでミス・ユニバース 今後の備えは万全か

大前研一:今の中国はまるでミス・ユニバース 今後の備えは万全か。 今の中国はまるでミス・ユニバースのように人々からちやほやされていますね。投資チャンスを虎視眈々とうかがうもの、あれやこれやの提案を出すものと、どの国も中国との絆を強めたがっています。だが落ち着いて考えて見ると、ミス・ユニバースの魅力が5年、10年経って衰えた時、誰がちやほやしてくれるでしょう?…

タグ: 所得 倍増 イノベーション 競争

発信時間: 2011-07-08 11:26:18 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

香港の経済紙「香港商報」7月4日付で掲載された「大前研一:今の中国はまるでミス・ユニバース。容姿が衰えた時の備えは万全か?」を見出しとする記事の内容を以下に紹介する。

大前研一氏

英誌「The Economist」が選んだ「世界の思想的指導者5人」のうちの1人とされる大前研一博士は、日経平均株価がうなぎ上りだった1980年代には日本の経済バブル崩壊を警告し、1990年にはソ連の解体を予測し、10年前くらいから格差社会の到来やシルバー産業の振興をずばり言い当てている。この度、今の中国経済の情勢について大前氏にインタビューを行なった。大前氏は日本経済のこれまでの興亡盛衰を引用しながら、彼なりの視点を交えた解析をしている。

「所得倍増計画」のリスクについて

香港商報記者:中国政府は5年後までに国民の所得を倍増させる計画を実施しようとしていますが、この計画は1960年代に日本政府が実施した「国民所得倍増計画」の中国版と言えるでしょう。中国がこの計画を実施するのに必要な条件はそろっていると思われますか?また今後、中国経済にどのような影響をおよぼすと思われますか?

大前氏:1960年代に日本政府が実施した「国民所得倍増計画」に対する見解に誤りがあったのだと思います。当時、日本の経済は輸出依存から内需型に構造転換しましたが、この構造転換自体が間違いだったのです。国民の所得を人為的に増やすことも誤ったやり方でした。生産力が向上すれば国民の所得もおのずと上がるもので、政府の介入によりコントロールすべきではなかったのです。政府が国民所得倍増を謳ったのは、単なる政治的な宣伝文句と言えるでしょう。結果、製造業の多くを海外移転させることになったのだから、この政策は失敗だったわけです。生産性の向上とイノベーションの追求をしてこそ、限界利益が上がり、労働者の給料アップにつながるのです。生産性の向上とイノベーションの追求をしない国はただ衰退あるのみ、です。

記者:中国国内でもこの2年ほど同じような傾向が見られます。不動産や美術品の方が投資リターンがより大きいことから、事業投資を縮小する企業が多くなっています。このことは中国経済にどのような影響をおよぼすのでしょうか?

大前氏:中国で投資と言えば「資金を持つ者だけが土地を政府から買える。土地を買える者だけがそれを糧により大きく飛躍する」というのがセオリーです。土地を買った者は、地価が上がるのを待って、5年後にはデベロッパーとして高い売り値をつけて物件を売り、その利益を得る、という構図です。だがこのような構図が少し変わればどうなるでしょう?例えば経験豊かなグローバル企業が市場に多く参入すれば、中国の企業はたちまち蹴散らされてしまうでしょう。韓国でも市場を開放した途端、大手企業の50%が倒産したほどです。中国企業に私から言えることは、狭い分野の中でトップに立とうとするならば、長い歳月をかけなければならないということです。

今の中国はまるでミス・ユニバースのように人々からちやほやされていますね。投資チャンスを虎視眈々とうかがうもの、あれやこれやの提案を出すものと、どの国も中国との絆を強めたがっています。だが落ち着いて考えて見ると、ミス・ユニバースの魅力が5年、10年経って衰えた時、誰がちやほやしてくれるでしょう?そのためミス・ユニバースはまだ魅力が衰えないうちにMBAを取得しておくなどの努力をするのです。企業経営をミクロ的に見ると「市場参入、成熟化、グローバル化」への道のりです。その分野において世界のリーダー的な存在にまで登りつめれば、その市場からより多くの利益を得ることができます。これこそが利益を出し続けるためのただ一つの方法なのです。

グローバル化とイノベーションの勧め

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