「中国の労働者の賃金は現在、ベトナムやラオスと比べれば高い。しかしアジア四小龍(香港、シンガポール、台湾、韓国)やブラジルと比較すれば安いわけで、そこには比較優位性がある」と張茉楠氏は言う。さらに同氏は、中国の労働力コストの上昇速度はまだまだ緩やかだと指摘する。長年に渡って行われてきた中国の収入分配制度改革の歩みは速いとは言えない。中国の製造業に従事する労働者の賃金は、先進国と比べてまだまだ安い。そのため、数年内に中国の労働コストが欧米先進国と並ぶという見方は誇張に過ぎると指摘する。
労働者の質を上げることで成長を
張茉楠氏は、従来の廉価な労働コストによる高度成長は限界に来ているとの見方も示している。労働生産性を上げ、労働者の質を上げることが当面の急務であり、人口ボーナスの時代から労働者の質的向上を目指す時代へ転換していくことが、今後中国が歩むべき道であるとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月2日