アメリカで発生している記録的な干ばつがいくらか緩和した矢先、今度は中国国内のトウモロコシが虫害の影響を受けたことが明らかになり、国内の物価の動向に対する懸念材料がいくらか残った。しかし、中国国内の農産物の海外依存度は高くなく、食糧価格が消費者物価指数(CPI)に占める割合及び先物価格がCPIに及ぼす影響の遅延性などを考慮すると、国内外の農産物先物価格の高騰が国内の物価にもたらす上昇圧力は限られている。15日付中国証券報が伝えた。
目下、市場が注目しているトウモロコシの虫害だが、実際の状況はそこまで深刻ではないようだ。虫害の被害を受けた華北と東北地域では既に重点的に駆除・防除対策が取られ、監視・管理が行われている。現在、10月初頭のトウモロコシの収穫期まであと1カ月半あまりとなり、虫害が発生している区域においては、ヘリコプターによる農薬散布、煙霧機や農薬散布車などによる作業が進むことで、虫害は沈静化に向かうと見込まれ、更に進行する可能性は小さい。一部の区域が影響を受けたとしても、2012年の東北・華北地域のトウモロコシ作付面積は前年の約倍で、虫害によって減少した生産量を概ね補うことができる。
以前の豆類先物価格の高騰は今では影も形も無い。アメリカの干ばつはある程度の緩和が見られており、少なくとも更なる深刻化はないどろう。米農務省作物成長報告書によると、8月12日時点で、アメリカの豆類の作柄が「優良」の割合は30%まで回復し、トウモロコシの作柄が「優良」の割合は23%で前週の横ばいとなった。豆類にしてもトウモロコシにしても、先物相場を上昇に向かわせる好材料は少なくなっている。