それに加え、先物価格の高騰の影響がCPI上昇率の拡大に及ぶまでには一定の期間がある。農産物の先物価格は、CPIの動向より大よそ半年近く先に動くという研究報告がある。この観点から、8月、中国国内のCPI上昇率は2%以上まで回復することが見込めるが、それを押し上げるのは主に新たな価格上昇要因である。遅延性により、現在、一部の農産物先物価格は高騰しているものの、関連部門が今後のインフレ管理に対する政策を検討する十分な猶予はある。
国内の面から見ると、物価の大幅な変動を食い止める要素は他にもある。すなわち、主要農産物の国家備蓄制度である。中国国家糧食局は10日、国家備蓄からトウモロコシとコメを放出すると発表した。これにより、虫害の影響によるトウモロコシ・コメ市場の価格変動は限定的なものとなる。ここ数日、トウモロコシ価格はある程度値上がりしているものの、上昇幅が限られているのは備蓄の放出によるものだ。9―10月にコメとトウモロコシが収穫期を迎える前、穀物市場の供給が緊迫するが、備蓄の放出によって、価格を安定させることができるのは確かだ。
総合的に見ると、先般の一部農産物先物の価格高騰による物価上昇圧力を懸念する必要は全くないということである。
「中国証券報」より 2012年8月15日