最近の報道によれば、中電持ち株有限公司はインドのハリヤーナー州に石炭火力発電所を建設し、発電所では大陸部で生産された発電設備が使用されるという。同公司はここ2年ほどの間にアジア・太平洋地域で大きく発展しており、南アジアや東南アジアの発電所で使用する発電設備のほとんどを大陸部から購入している。ベトナム、カンボジア、ラオスなどの国では、現地のアパレル企業はこれまで通り米国や欧米から注文を受けているが、使用する機械設備、生地、副資材といった技術含有量の大きい製品は、そのほとんどが大陸部産だというケースがよくみられる。この2つの例からわかることは、中国の製造業はなお中流-上流への発展で高い潜在力を秘めているということだ。ある経済リサーチ・コンサルティング会社によると、2010年に中国の製造業が世界の製造業の総生産額に占めた割合は19.8%で米国の19.4%を抜き、中国は世界一の製造業大国になった。メードインチャイナの突出した優位点は、改革開放がスタートしてから蓄積してきた経済の規模、技術の水準、インフラ建設にある。また、進んでイノベーションに取り組む勇気ある心意気こそが、中国の製造業のパワーの源だといえる。
経済グローバル化が拡大し深化するのにともない、製造業の仲間に加わる新興国が次々に現れ、労働力コストの低い地域・国に資本が急速に流れ込み、製造業の中流-下流には一層激しい競争が出現している。中国の製造業は下流を堅持すると同時に、イノベーションを通じて中流-上流への移転や発展をはかるという課題に直面している。ロシアの経済学者イワン・ツェリッシェフさんはベストセラーとなった著書「中国対西洋」の中で、世界の製造業の生産チェーンを4つに分類している。一つ目は、技術含有量が低い労働集約型の製造業だ。二つ目は技術含有量が高いローエンドの製造業だ。三つ目は製品が多様化したローエンドの製造業だ。四つ目はハイエンドの製造業だ。メードインチャイナは一つ目のトップに位置し、今は二つ目、三つ目での陣取りを急いでおり、四つ目にも迫りつつある。だが四つ目でまだ重要な役割を担っていないことは明らかだ。
メードインチャイナの中流-上流への発展という問題は、中国経済が構造のモデル転換と持続的な発展を実現するためのポイントでもある。世界の産業チェーンのハイエンドによじ登るためのカギは、イノベーションのエネルギーを喚起し、産業のモデル転換・グレードアップと構造調整を実現し、「世界の工場」から「世界のブランド」へ移行することにある。(編集KS)
「人民網日本語版」2012年8月22日