賑やかな上海の市街地から離れた場所に位置する「張江ハイテクパーク」には、世界的に有名なハイテク企業が入居している。現地のタクシー運転手に聞くと、そこで働くのは「野心あふれる技術狂い」ばかりだという。
黎先平氏はC919の副総設計師で、「技術狂い」の一人だ。黎氏の働く中国商用飛機に所属する上海航空機設計研究院は、飛行機の翼の形をしている。千人以上の中国人研究者、各国の専門家が、黎氏と同じことに取り組んでいる。頭から夢を取り出し、それを具現化しようというのだ。
中国商用飛機の計画によると、C919は現在就航している同型機と比べ、空気抵抗を5%カットし、燃費を15%以上削減することが可能だ。窒素酸化物の排出量は、国際民間航空機関(ICAO)の規定量を50%下回る見通しだ。
黎氏は、「ラストスパートの段階に入った」と語った。