しかし、釣魚島問題を日系企業が中国から撤退する唯一または決定的な要因とするのは偏見である。韓国と中国の家電企業における巨大な競争圧力及び市場への影響の鈍さにより日系家電メーカーが競争面で損する中、今年初め、パナソニックは中国での大規模リストラを決め、ソニーと日立もテレビ生産台数を減らす措置を採った。2011年度、シャープは創設以来最大規模の赤字を計上し、ソニーは8年連続赤字、パナソニックも過去最大の赤字となり、日本の主要家電メーカーは戦略見直しの必要性から中国での業務を縮小せざるを得なくなった。同様に、中国での研究・開発ペースがゼネラル・モーターズやフォルクスワーゲンより遅い日系自動車もここ数年、欧州系と米国系の自動車にシェアを持って行かれ、生存をかけた思い切った措置という苦しい選択を迫られている。
中国の要素費用の増加も日本企業の投資先変更に拍車をかけた。ボストンコンサルティンググループの報告によると、中国の人件コストはアジアその他の7カ国を上回っており、ベトナムより15-30%、インドネシアより40%高く、人件コストが最も安いバングラデシュの5倍に上る。この影響により、2011年度の日本の東南アジア地域への直接投資額は1兆5000億円に達したが、中国への投資額は1兆円にとどまった。日本の今年7-8月の東南アジアへの投資は1800億円、中国への投資は1500億円だった。ホンダは270億円を投資しインドネシアに自動車工場を建設し、2014年の稼動を予定している。トヨタは169億円を投じタイに生産施設を建設し、来年上半期に稼動する予定だ。また、百貨店大手の高島屋は、向こう5年で東南アジアに中国の2倍となる350億元を投資する計画。