中信銀行為替アナリストである羅旋氏は「この頃、人民元が急速に値上がりしている要因は多方面に渡る」と話す。国際的な面で言えば、欧州と米国の中央銀行が追加の量的緩和に踏み切ってから、市場のリスク選好が強まっており、国際資金は再びリスク資産への投資に向けられている。「韓国ウォン、シンガポールドル、新台湾ドルなどのアジア諸国の通貨はいずれも7,8月から著しく値上がりしていることがわかる。香港のオフショア市場でも、人民元が人気を集めており、米ドル対人民元為替レートは内陸部よりも更に低く、微かに内陸部の価格に影響を与えている」と羅氏は指摘する。米国の大統領選挙も国際的な要因の一つである。「大統領選は例年、中国と人民元為替レートの話題を避けて通ることはできない」と羅氏は言う。
国内の面を見ると、投資が安定しつつあり、加えて9月の貿易データに改善傾向がはっきり表れていることで、国内経済の安定、更には穏やかな回復傾向に対する市場の見通しは強まっている。そのことが、市場の人民元の切り下げに対する懸念を大幅に緩和している。