市場経済の下で、価格が競争における最も重要な手段であることは間違いない。一定の価格引き下げ戦略を取れば、消費者に関心をもたれたり重要視されたりするのは確実であり、市場シェアをより多く獲得することができる。とはいえ価格を引き下げてばかりではいけないし、たちの悪い価格引き下げを行ってもいけない。価格引き下げ幅が企業の受け入れ可能な範囲を超えた場合、企業は手抜き作業や原料減らし、品質基準の引き下げ、サービス機能の低下などで「穴埋め」する可能性がある。最終的には消費者の利益に影響が出るだけでなく、企業の信用やイメージも大幅に損なわれることになる。
実際、成熟した市場の成熟した企業は、価格競争だけに縛られることはないし、価格が企業間競争の唯一に手段になることもない。世界的に有名な企業や有名なブランドは、価格戦略を取ることはないし、他企業と価格戦争を繰り広げることもしない。
中国の家電メーカーは価格戦争を派手に行っているが、世界的な有名企業・ブランドは中国企業との価格戦争に乗り出すことはほとんどなく、それぞれの経営戦略や経営方針を淡々と持続させている。より重要なことは、こうした企業・ブランドの販売状況や市場は、中国企業間の価格戦争から何の影響も受けないということだ。