東京都新宿の賑やかな繁華街には、大手ドラッグストアチェーンと家電量販店が集中しており、激しい販売商戦が繰り広げられているエリアだ。しかし、ここ数カ月、頻繁に訪れていた「大口顧客」の中国人観光客の姿はどこにもない。ドラックストアのアルバイト店員は「香港や台湾からの観光客は時々来店するが、売上は落ち込んでいる」と話す。政治上の問題で経済にしわ寄せが来る状況の中、年始には勢いよく伸びていた経済も下半期には、急激に減速する一方。観光業だけでなく、貿易などの経済の重要分野はいずれも低迷している。
日本企業、一刻も早い回復望む
日本企業が最も懸念しているのは、中国人による日本製品の不買が拡大することで、日系自動車メーカーと電子機器メーカーの対中輸出がダメージを受けることであり、更にはその影響が製造業に原材料を供給するサプライヤーにまで及ぶことである。日本家電大手パナソニックの技術戦略グループ参事の松本幸則氏は、日本企業の中国における経営不振という現実問題について、あまり語りたくないと前置きしながらも、「中日間の政治問題の緊迫した局面が、経済に与える圧力を感じている。中国は日系企業の重要な海外市場であり、一部企業の工場が中国から撤退する動きは、ただの経営戦略の調整にすぎない」と強調した。