また、中国に比べ、高騰する日本の労働コストと円高などが影響し、日本産業の競争力は不利な立場に陥っており、企業の海外移転を招いている。そのため、中国との経済の溝を埋めなければ、日本企業の情勢はますます厳しいものになるだろう。国債の追加発行によって景気刺激すべきとの見方を示している仙台大学の高成田淳教授は、「次の首相は中国とのコミュニケーションを強化すべきであり、日本企業が対中輸出への信頼を取り戻すための具体的なプランを示す必要がある」と指摘する。
パナソニックのような大手だけでなく、多くの中小企業が中日関係の回復に期待を寄せている。宮城県石巻市の漁業市場の須能邦雄マネージャーは、「放射能汚染の風評被害を受け、地元経済を支えていた水産品の中国などのアジア諸国への輸出が大幅に減少し、加えて日中関係が悪化したことで、現在の輸出はゼロに近い状態が続いている」と話し、「日中両国の指導層が共通認識の形成に向けて努力すれば、輸出が回復するだけでなく、水産品価格が上昇することで、漁業関係者の所得向上にも繋がる」との期待を寄せた。須能氏によると、2011年に比べ、地元の水産品の価格は3割ほど下がっており、漁業関係者の生活水準も下がっているという。
中日韓自由貿易協定(FTA)について、仙台市で農場を経営する針生信夫氏は「中国の巨大な消費市場は、日本の産業にとってはチャンスである。農産物を例に挙げれば、日本は中国のハイエンド市場に向けて、高品質食材の輸出を検討することができ、中国もまた、日本の先進的な農業技術を必要としている。その上、、不景気の中で生活する日本国民にとって、中国の安価な農産物は有難い存在である。安倍氏は新たな経済政策を一刻も早く発表すべきであり、中国との互恵関係を再び構築することで、日本の経済界に利益を取り戻す必要がある」との見方を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年12月25日