■「福田ドクトリン」とは肩を並べがたい
だがASEAN10カ国内には明らかな相違がある。古くからの加盟国のインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ブルネイと新しい加盟国のベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーとの間には明らかな経済発展格差がある。特にラオス、カンボジア、ミャンマーは後発開発途上国だ。経済発展水準の違いのために、ASEANは組織内に潜在的な不安定性を抱えている。さらにASEAN諸国は政治体制や宗教も全て同じというわけではない。「こうした違いのため、安倍ドクトリンの基本的価値観思考は大いに力がそがれる。したがって、この外交路線が通用しないのは確実だ」と中国社会科学院日本研究所の厖中鵬氏は指摘する。