通貨下落という、決して目新しいものではない今回の通貨戦争は、金融危機の対策から始まっている。最も打撃を受けた国家が輸出を促進させることで経済の衰退に対応しようとするものだが、この戦略に先例がないわけではない。
1920年代、フランスはフランを下落させて競争優位に立った。1929年にウォール街が大暴落し、1931年に金本位制度が崩壊すると、イギリスは通貨を下落させる政策を採った。アメリカや日本、その他の国家もそれを模倣しているのだ。
その結果、通貨下落の競争が始まった。他の国家は保護関税や資本流通をコントロールすることを通じて対抗しようとしている。1970年代と80年代にも通貨戦争が勃発したが、最終的にアメリカがドイツと日本、特に日本に対して自国の通貨価値を高めさせることにより終結した。