中国経済の今後数年間の成長見通しは各方面から明るいとされているが、軽視できないさまざまな課題があるとする評論もある。国際環境を眺めると、米国は「財政の崖」や「債務上限」の問題が解決しておらず、欧州債務危機の見通しも楽観できず、こうしたことが外からの課題になるとみられる。さきに中国人民銀行通貨政策委員会の委員を務めた清華大学中国・世界経済研究センターの李稲葵主任は取材に応える中で、中国国内をみると、現在の最大のリスクは物価と不動産価格だと述べた。
▽欧州債務危機が視界から外れ「通貨戦争」がキーワードに
今年のフォーラムで設定された議題をみると、欧州債務危機の文字がほとんどみられなくなっている。昨年、欧州中央銀行は条件を満たせば債務危機に陥った国の国債を無制限に購入することを承諾した。この大規模な経済活性化プランを受けて、債務危機の国の国債利回りは目立って低下し、ユーロ資産の価値が上昇した。昨年末にギリシャが最新の支援資金の獲得に成功したことから、市場では欧州債務危機への懸念も一段落したとの見方が広がっている。