日本は、アジアの多くの国に中間製品を提供しており、大幅な円安は、日本と密接な関係を持つ国の反動を呼び、競争的な通貨引き下げに向かう 状況を生み出す。円安の影響を受け、韓国などの新興市場では実質実行為替レートが不断に上昇している。これに対応する輸出状況にも大きな波が 生じ、今年1月、韓国の貿易黒字は大きく減少し、ブラジルの貿易黒字は赤字に転換し、インドの貿易赤字は拡大した。もしも円安が他国への影響 をこのまま強め、為替レートを下げて行けば、アジアの各貨幣は引き下げの競争に入り、輸出を動力とするドイツも巻き込めば、全面的な為替戦争 が誘発される可能性は決して低いとは言えないだろう。
日本円や韓国ウォン、ユーロなどドル以外の主要通貨のレートが柔軟な動きを見せるのに対し、人民元は依然として弾力性に欠けており、受動的 な通貨上昇の圧力は非常に大きい。人民元の対ドルレートはここ19年の最高値に達している。もしも諸外国の中央銀行が日本円に追随して本国通 貨の為替レート低下政策を取れば、中国元レートの柔軟な調整や適度な低下の準備が整っていない状況の下、中国の経常収支と産業グレードアップ には大きな圧力がもたらされることになる。さらに人民元が均衡為替レートを超えて高く見積もられ、短期資本の流入や資産のバブル化のリスクが 高まることも予想される。