日本が2年連続の貿易赤字となった原因としては、2011年の東日本大震災による原発事故の後、原子力発電所の稼働停止によってエネルギー 源の輸入が増加し、赤字につながったとの見方が一般的だ。しかし貿易構造と輸出分布から見ると、日本の貿易赤字は輸出の減少を主要原因とする ものと考えられる。
第一に、貿易相手国の状況から考えると、ここ数年のユーロ危機によって経済の低迷している欧州で輸入が減少し、日本の輸出も減少した。さら に中国経済も2011年下半期から構造調整期に入り、エネルギー資源輸入の減少局面に入った。このことは、日本の中国に対する部品や工業原 料、中間製品の輸出を減少させ、日本の貿易赤字の原因の一つとなっている。