経済面を見ると、日本の東南アジア回帰は避けることのできぬ情勢によるものだ。日本はミャンマーを含む東南アジア諸国を必要としている。中国との島を巡る対立のエスカレートにより、中日の経済・貿易関係が急速に冷え込み、日本経済は中国経済への過度な依存から脱却する必要が生じている。釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の発生以降、中国人の日本製品に対する不買ムードが続いており、中国と関係をもつ多くの日本企業は、対中国輸出額が激減し、業績が大幅に悪化している。一部の企業は、生産規模の大幅削減を迫られている。この情勢下、日本企業は中国市場の日本製品不買に対応するため、販売先を求めている。同時に、中国経済の長年に渡る高度経済成長に伴い、外国企業の中国における生産コストが増加している。最も顕著な例は人件費の高騰で、労働集約型の日本企業は新たな労働力市場を必要としている。他にも、中国政府はかつて外国企業に優遇政策を適用していたが、今はこれが大幅に割り引かれている。中国各地の政府もかつての積極的な外資誘致から、選択的な外資誘致に切り替わっている。「高投入・高消耗・高汚染・低利益」の日本企業は進出先を失い、選択肢の変更を迫られ、発展途上の国と地域に生産ラインを移設している。
一方のミャンマーも日本を必要としている。世界銀行のデータによると、ミャンマーは世界で最も発展が遅れている国家の一つだ。ミャンマーは改革開放をスタートし、発展資金が必要だ。テイン・セイン大統領は今年に入ってから世界中を訪問し、世界の資本をミャンマーに引きつけ、開放のペースを加速させようとしている。米国はミャンマー援助を何度も表明しているが、その多くは政治的な友好姿勢を示したに過ぎず、経済面から見れば「言葉ばかりで実益を伴わない」状況だ。ミャンマーはプロジェクト推進に向けた投資を必要としている。中国で経営環境が悪化し続けている日本企業にとって、ミャンマーは最良の選択肢だ。ミャンマーは人件費が安価で、産業支援を必要としており、プロジェクトの環境保護・産出について厳しい条件が出されない。この面について、ミャンマーはマレーシア、ベトナム、カンボジアなどと比べて強みを持っている。