昨年10月以来、日本円の対中国元中間レートは20%を超える下げ幅を記録している。人民元高が進む中、投機マネーの一部が貿易ルートで中国大陸部に流入し、一部の地域では輸出貿易の過熱が現れつつある。
「アベノミクス」によって大幅な円安が続いているのを受け、日本円を保有していた海外機構は人民元・日本円の大きな為替差益に目をつけ始めている。海外資金の大陸部での取引を仲介している保税区の貿易会社の担当者によると、5月中旬以来、巨額の日本円を保有する海外機構から、日本円をいかに中国で決済するかという問い合わせ電話が毎日かかるようになったという。
さらに深刻なのは、円安の進行が中国の製造業に打撃を与えていることである。中国の輸出商品の価格競争力は大きく弱まっている。輸出企業の利潤率は現在、3%から5%である。昨年10月以来、人民元の対日本円レートは20%近く高まった。中国の製造業メーカーは日本に輸出すればするほど損失を出すようになっている。商務部の瀋丹陽報道官は、人民元の上昇が中国の貿易企業に大きな影響を与えていると指摘している。輸出企業にとってはその影響は主に悪影響であり、日本への輸出貿易にとってはさらにマイナス影響が強い。