アベノミクスの内容、日本経済の詳細データ、マクロ政策伝播ルートを客観的に分析すれば、アベノミクスの結果を判断するのは時期尚早である。わずか10日間で、日本経済の基本面が逆転するはずがなく、アベノミクスの政策効果もいきなり刺激から「お荷物」に変わることはない。短期間内に変化しうるのは人の心、人々のアベノミクスに対する認識だけだ。この変化をもたらす要素は外部リスクへの懸念、そして自国の能力に対する懸念だ。
外部環境を見ると、日本市場の恐慌を引き起こす外部リスクには、米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長による量的緩和の終了に関する暗示と、中国の経済データの悪化がある。実際には、これらの懸念は杞憂である。日本の貿易構造と現在の政治・経済構造から見ると、円相場の変化が日米貿易に与える影響は中日貿易を上回る。中国の需要は日本経済復活の重要な原動力ではない。注目すべきことに、米国の10年物国債の利回りが5月29日以来0.026%上昇しており、一方で日本の10年物国債の利回りが0.118%低下した。両者の変動が連動するというこれまでの流れが覆され、バーナンキ議長の発言が日本株式市場の激変をもたらすという説が、荒唐無稽であることが証明された。