5月の経済データの不振は、経済低迷のリスク拡大に警鐘を鳴らしているが、短期的にインフレ圧力への懸念も緩和される。経済全般は次の四半期も依然として疲弊し、金融政策が比較的緩和の局面を維持する可能性がある。しかし金利・預金準備率の引き下げに関しては、政府マクロ調整部門の経済減速への許容度にかかっている。
現在の経済成長は、依然として原動力が乏しい。5月の経済データを見ると、消費、工業生産、投資が伸び悩んでおり、輸出はほぼゼロ成長で、輸出企業の苦境が反映されている。生産者物価指数(PPI)の下げ幅の拡大は、一部業界における余剰生産能力および在庫の削減の遅れを示している。生産サイクルが正常に進行した場合、今回の生産サイクルは2007年にピークに達してから5―6年間の生産能力削減を経て、2013年に削減をほぼ完了し、新たなサイクルを迎えるはずだ。しかし大量の投資により、2009年に生産能力が再び急増し、生産能力削減の時間が7―8年に延ばされた。これはつまり、世界の量的緩和策が将来的にインフレ圧力を拡大することが懸念されると同時に、中国経済の低迷の影がすでに現れていることを意味している。
経済低迷のリスク拡大は客観的に見て、金融政策の適度な緩和の維持を求めている。しかし現在の緩和的な流動性の裏側には、極めて脆弱な一面が隠されていることに注意が必要だ。