中国が輸出する鋼材は世界市場でたびたび反ダンピング・反補助金調査の対象になると同時に、海外から輸入される鋼材も国内の鉄鋼価格に極めて大きな衝撃を与えてきた。このため中国から輸出される鉄鋼製品の中で、鋼管がこれまでずっと海外での反ダンピング・反補助金調査の焦点となっていた。このため国内の鋼管企業は海外への輸出が阻まれると同時に、国内では生産能力の過剰という苦境に陥っていた。そこで国内のシームレスステンレスパイプメーカーである江蘇武進不銹鋼管廠集団有限公司と常熟華新特殊鋼有限公司の2社が国内の関連企業を代表して、商務部に反ダンピング調査の申請を提出するとともに、欧州連合(EU)と日本を原産地とする高性能ステンレスシームレスパイプ製品に対する反ダンピング調査の発動を求めた。
商務部は2011年9月8日に公告を出し、EU・日本原産の輸入高性能ステンレスシームレスパイプに対し反ダンピング立件調査を行うことを決定した。12年5月8日に出した公告では、同製品にダンピングがあったとの仮決定を下した。
同部は12年11月8日に最終決定を発表し、EU・日本原産の同製品に対し9.2-14.4%の反ダンピング税を課し、課税期間を5年とすることを明らかにした。チューボスの製品に対する税率は9.7%、ザルツギッターとその他の企業に対する税率は11.1%とされた。
ある業界関係者によると、11年以降、中国が海外の鉄鋼製品に反ダンピング調査を発動したのはこれが初めてのことで、「なかなかいい反撃」だという。