▽報復ではない
現在、EUは中国が特殊鋼管に高額の関税を課していることについてWTOへの訴訟提起を検討している。EUでは、中国の動きは悪意をもった報復行為だとする声が上がっている。
蘭格鋼鉄網の張琳アナリストは、「中国の動きは報復行為ではなく、国内の鉄鋼貿易を自ら保護する行為であり、情理にかなった合理的な反撃手段である」と話す。
張アナリストによると、国内の鋼管生産能力はもともと供給過剰であり、これに米欧からのダブルパンチが加われば、国内鋼管企業はますます経営が苦しくなる。輸入鋼管のダンピングは、国内の鉄鋼企業に大きな損害を与えており、国が自国の産業を保護する措置を取るのは情理にかなった合理的なことだといえる。国は市場の調査研究を踏まえて、高額の関税を徴収するという措置を取ったに違いないという。
ある鉄鋼業界関係者によると、EUと日本から輸入される鋼管には、国内で生産されたものより価格が安いものがあり、市場で大きな部分を占め、低迷気味の中国鉄鋼産業にさらにダメージを与えている。産業という観点からみると、これらの輸入鋼管には確かにダンピングの疑いがあり、国が調査を行ったのは合理的なことだ。関税の徴収から、国が貿易をめぐり自らを保護する意識を高めていることがうかがえる。これまでのようにひたすら攻撃されたり、妥協をはかったりするようなことはないという。