次に、変動幅を拡大すると同時に、人民元為替レートの基準値を基礎とする価格決定メカニズムを整える必要がある。現在、人民元レート基準値の動きには中央銀行の調整方針が反映されているが、市場の需給の変化を速やかに反映することができていない。そのため、人民元レートの基準値を基礎とする価格決定メカニズムの改革はより重要である。今後、人民元レートの終値と基準値の連動性を徐々に実現し、調整から脱却していく必要がある。それを実現できれば、人民元為替レートメカニズムの弾力性も実質的に高まり、資源配分を合理化する役割を果たすことができる。
最後に、資本項目における人民元兌換自由化の推進ペースを適切に加速する必要がある。「国内向けの人民元安」と「国外向けの人民元高」という現象はある程度、中国の資本規制によるものである。海外資金の中国国内への流入が容易な一方、国内資金の海外市場への投資は難しい。アメリカなどの経済国の回復は、中国企業が海外市場へ投資する好機を提供してくれた。資本項目における人民元兌換自由化の加速により、中国企業の国際市場における競争力を高めることができるだけでなく、外貨準備の運用ルートを拡大することにも有益であり、投資リスクの分散に繋がる。また、中国国内の改革と資本項目における人民元兌換自由化の関係を慎重に処理する必要があり、資本項目の開放ペースが速すぎることによる経済へのダメージを避けなければならない。
「中国証券報」より 2013年7月19日