「十二・五(第12次5カ年計画、2011―2015年)」によれば、「十二・五」期間中、中国経済は年平均で7%の成長率を目標に掲げている。2020年を目途に、全面的な「小康社会(いくらかゆとりのある生活ができる社会)」を実現するという目標を達成するにあたり、今後数年間、少なくとも年平均6.9%以上の経済成長率を実現する必要がある。そのため、中国経済の成長率は7%の「最低ライン」を下回ることは許されない。
インフレ防止を経済運営の合理的な範囲の「上限」に設定したことも、中国の指導部が物価問題を極めて重要視していることを示している。世界金融危機発生以降、主要先進国が超緩和的な金融政策を実施したことで、流動性は氾濫し、大口商品の価格を押し上げただけでなく、中国の物価動向にも輸入型インフレのリスクをもたらした。そのような状況の中、インフレの防止は中国のマクロ調整の重要な目標となっている。2013年上半期、中国の消費者物価指数(CPI)は前年同期比でわずか2.4%増となり、年始に定めた3.5%の年間CPI上昇率の上限をはるかに下回るものだった。これは、当面のインフレ圧力が小さいことだけでなく、今後のマクロ調整にある程度の余地ができたことを示すものである。