経済成長の根源をみると、次のいくつかの方面で有利な要素がある。
第一に、中国は比較的高い国内貯蓄率と国内投資率を維持しており、実物資本への投資も高い伸びを維持している。
第二に、中国は相対的に高い人的資本の伸び率を維持している。教育、人材、科学技術の急成長が付加価値のより高い人的資本ボーナスをもたらし、その直接的なプラス効果と流出性が「人口ボーナス」減少によるマイナス効果を相殺し、それを上回る。
第三に、社会全体の労働投入量の伸び率は低下しているが、非農業と都市部の雇用者数は高い伸びを持続している。これが、(1)「工業化」または「非農業化」の加速、農業労働力の大幅な減少とともに、生産率の低い農業部門から生産率の高い非農業部門への移行と、社会全体の労働生産率のレベル向上(2)「都市化」の加速、農村の労働力の大幅な低下とともに、消費レベルの低い農村地域から消費支出の高い都市への移転、農村の労働力が多く都市に移り、社会全体の消費水準向上――といった2つの方面の構造的効果を生んでいる。