これほど大きな変化が起きた原因は主に3つある。第一に、バブル経済崩壊後の長引く経済低迷により、税収が大幅に減ったことだ。91年の財政収入に比べ、10年の財政収入は39.5%、12年は31.5%、それぞれ減少した。第二に、バルブ経済崩壊後、経済復興を促進するため、日本政府が大規模な経済活性化措置を相次いでうち出し、国債発行額を増やし、公共投資を拡大したことだ。第三に、人口高齢化がもたらす社会保障支出の剛性需要(絶対的で継続的な需要)が増大したことだ。最近、社会保障支出は毎年1兆円のペースで増加し、経常的な支出の3分の1近くを占めている。
積み上がり続ける政府債務は日本の財政にとって重い負担になっている。13年度に国債の償還と利子の費用が経常的支出に占める割合は4分の1に迫り、財政の政策決定能力がひどく弱まった。これと同時に、巨額の国債が国民の消費を押さえ込んでいる。長期・短期政府債務の負担は国民の肩にかかり、国民一人あたり約854.5万円の借金を背負っていることになる。このように債務の負担が重く、収入が伸びないときに、日本国民は消費に走るだろうか。安倍首相はさきに物価上昇率を2年で2%に引き上げると宣言した。これが実現すれば、国債は0.1%のプラスの利回りを維持することになり、国債の利子負担は政策調整前の3.7倍以上になる。こうなると、極度に弱った日本の財政はイタリアの轍を踏むことになる。