前回は組閣後すぐに訪中した安倍首相だが、今回は中国を主要ライバルとし、米国を中国に対抗する後ろ盾とする「遠交近攻」外交を取っている。そして(1)米国のアジア太平洋への重心シフト(2)中国の台頭――という重要な2つの変化が、安倍首相のこうした外交選択を後押ししている。
9月5日にロシア・サンクトペテルブルクで開かれた第8回20カ国・地域首脳会合(G20サミット)で習近平主席と安倍首相は簡単に交流した。安倍首相は「ここで習主席にとても会いたかった。私は日中関係の改善を切実に希望している」と述べた。その後、中国の指導者は繰り返し日本との関係改善のシグナルを出したが、安倍首相は彼の「切実さ」を中国に見せなかった。
1年以上の緊張で中日両国は政治だけでなく、経済まで冷え込んだ。日本の税関統計によると、2013年上半期の日本の対中輸出は前年同期比17.1%減、中国製品の輸入は同6.9%減となった。中国はなお日本最大の貿易相手国ではあるが、その落ち込みによって日本がより多くの中国市場でのシェアを失えば、日本の財閥が安倍首相を続投させるはずがない。これも安倍首相が中国の指導者に会いたがっている理由の一つだ。