安倍首相の考えには矛盾がある。中国脅威によって国際社会の同情を誘い、中国周辺諸国を束ねて中国を攻撃し、日本を「正常な国」にする努力への国民の支持を得て、中国牽制を急速に拡大したい一方で、中国が彼の顔を立て、首脳会談を行うことを望んでいる。それは政治関係によって弱まった経済交流を回復し、国内の財閥が中国で儲かるようにし、中日関係の「政冷経熱」を続けるという考えに他ならない。これはあまりに非現実的だ。中日関係を処理するため安倍首相は「切実な会談」を仕方なく行うということだろか。逆に中国の新指導部は大局に立ち、中日関係を損なう発言をしたことがなく、自信と成熟さを見せている。
戦後の日本は少なくとも2回の高度成長期を享受した。一つは朝鮮戦争前後、日本は米国を中心とする国連軍が朝鮮に攻め込む後方支援を担い、その軍需特需で工業生産が大きく刺激された。またアジア太平洋地域の足掛かりとして日本の戦争による傷跡を早く回復させたかった米国の思惑もあった。もう一つは中日、中米関係が回復した70年代。安定した周辺関係は中国の改革開放に欠かせない外部条件だけでなく、日本の高度経済成長にもチャンスを与えた。中国や韓国との安定した関係がなければ、「アベノミクス」も一時の強心剤に過ぎない。