「深セン」という都市名を聞いて連想するのは、中国初の経済特区や一人当たりGDP中国一、ファーウェイやZTE、テンセントなどの大企業の本社などだろうか。深セン市は国の経済特区政策の恩恵を受け、この30年間で「中国の奇跡」とも呼ばれる劇的な発展を遂げ、世界の注目を集めた。しかしここ数年、人件費の高騰にともない製造業はかつての輝きを失い、成長は鈍化し続けている。そうした状況を背景に、深セン市は3年前の経済特区成立30年を節目に前海(チェンハイ)特区を新たに設け、「中国のマンハッタン」建設を目指して新たなスタートを切った。
前海は深セン市西部に位置し、珠江デルタへ1時間、香港へ30分という交通の便が非常に優位な位置にある。また、ここには金融業や現代物流産業、情報サービス業、ハイテクサービス産業、その他の専門的なサービス業が集中し、サービス業の新しい発展モデルを模索できる特区であるといえる。現段階で、特区進出に名乗りを挙げている企業は2642社に上り、そのうち、登録資本金が1億元以上の企業は336社、世界の企業トップ500にランクインする企業は30社に上っている。深セン市および広東省の製造業の躍進の成果を受けて、今後新たな奇跡を生み出し、まさに習近平主席がかつて指摘した「香港をむすびつけ、内陸地域に利益をもたらし、世界へと発信する特区の中の特区」に変貌を遂げることが期待できる。