アベノミクスでは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、改革によって民間投資を喚起する経済成長戦略を主張し、デフレからの脱却と日本の再振興を目指す。だが実際には、日本経済の伸びは主に公共投資、住宅投資、個人消費に現れており、企業の設備投資では建築業とサービス産業に伸びがみられる程度だ。つまり、アベノミクスは国内需要を明らかに喚起したとはいえない、ということだ。
国際収支という点でみると、今年3月の貿易赤字は1兆4500億円に達して、21カ月連続で赤字になった。輸出は増加を続けるが、13年は石油や天然ガスなどの燃料の輸入額が7兆円増加し、これが貿易赤字の約60%を占めた。貿易赤字には日本企業の海外移転の加速や製造業の設備投資の不振などが反映されている。
物価という角度からみると、日本の昨年第4四半期の消費者物価指数(CPI)の生鮮食品を除いた総合指数は前年同期比1.1%上昇し、政府の金融経済月報も「デフレ」との表現を削除した。だが第一生命経済研究所の試算によると、円安による物価上昇が0.6%を占めるという。