BRICSは15日、「新開発銀行」の設立を発表した。本部は上海で、初代総裁はインドから選出される。欧米の専門家はこれについて、「BRICSの今までで最も重要な成果」、「実体化に向かう重要なステップ」と伝えた。しかしこのような「好評」は、西側諸国の懸念の「前置き」に近くなっている。新興国は西側主導の金融秩序を脅かす、初の基盤を手にしたという懸念が存在するのだ。「環球時報」が伝えた。
米ニュースサイト「クオーツ」は16日、「5カ国の首脳を一堂に集め、象徴的な協定を取りまとめ、彼ら全員を喜ばせるのは容易なことではない。しかしこれが、ブラジルで実現された。第6回BRICS首脳会議が開かれ、BRICS開発銀行の設立が決定された。BRICS開発銀行の正式名称は新開発銀行で、世界銀行と国際通貨基金(IMF)以外の選択肢と称している。これは、この二つのブレトンウッズ体制の産物が、西側諸国に支配され続けているからだ。首脳会議前に、中印が意見のずれを解消できるかが疑問視されていた。特に物議をかもしたのは、BRICS開発銀行の本部をどこに置くかだ。中国は上海を推薦し、インドはニューデリーを推薦したが、最終的に中国が勝利した。しかしインドは小さな勝利を収めた。BRICS開発銀行の初代総裁が、インド人になることだ。また全加盟国から副総裁が一人ずつ選出される」と伝えた。
ブルームバーグは「平等な参与、利益の共有」と題する記事の中で、「本部が中国に置かれる他に、初代総裁がインドから選出されることになった。総裁は輪番制。協定の内容によると、初の地域事務所は南アフリカのヨハネスブルグに開設される。理事会の初代議長はロシアが、役員会の初代議長はブラジルが指名する」と報じた。中国財政部の楼継偉部長は16日、環球時報の取材に応じた際に、「上海を本部としたのは、上海が比較的開放的な金融センターであり、地理的位置も非常に便利で、独特な競争力を持つからだ」と指摘した。
BRICS開発銀行の設立は、2013年に開かれた第5回BRICS首脳会議の合意内容だ。BRICSの財政部門は2013年8月より、BRICS開発銀行の会合を計7回開いた。16日に調印された協定の主な内容は下記の通り。
・BRICS諸国およびその他の新興市場・開発途上国のインフラ整備と持続可能な発展の支持を目指す。
・銀行の資本金は1000億ドル。初期資本の500億ドルは、BRICS諸国が平等に分担。
・銀行の創設国はBRICS5カ国。銀行の創設後、新たな加盟国を招く。
BRICSは16日、緊急時に資金を融通し合う1000億元の外貨準備基金の設立を決定した。中国人民銀行の周小川総裁は環球時報の取材に応じた際に、「同基金はBRICS諸国内の金融市場の安定、秩序ある健全な発展を促し、短期的な影響への対応力を強化する」と述べた。
独ビルト紙は、BRICS開発銀行と外貨準備基金を、「新たな超大型銀行」、「小型版IMF」と称し、「これはBRICSの連携強化を意味する」と報じた。独国際放送事業体のドイチェ・ヴェレは16日、米コロンビア大学の専門家の発言を引用し、「BRICS銀行の創設は、BRICSが実体化に向かう重要なステップだ」と伝えた。ドイツ発展研究所の専門家、ピーター・ヴォルフ氏は、「これはBRICSのこれまでで最も重要な成果だ」と指摘した。スイス放送協会は、「5カ国は距離が離れているが、各国の決意が強まっている」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月17日