内需が疲弊しているのだから、全面的な金利引き下げを加速するべきという意見がある。しかし、現時点ではその条件が備わっていない。夏季ダボスフォーラムで李克強総理は、「中国の経済成長に関するデータが注目されているが、中国政府が最も重視しているのは、中国の雇用状況だ」と明言した。1―8月の都市部新規雇用者数は、通年の目標に迫っている。これは現時点では、全面的な金利引き下げの必要がないことを意味する。マクロ調整の目標から見ると、安定成長は単なる目標の一つにすぎない。全面的な金利引き下げは、不動産や、余剰生産能力を抱え、規模縮小が必要な部門への資金流入を促す可能性があり、構造調整と改革推進に適していない。
特定先に対する金利引き下げのほかに、より重要なのは改革の深化による金利伝導メカニズムの改善だ。金融政策は総量の政策であり、構造調整を目的とする特定先に対する緩和政策は、実施の過程において資金の方向を効果的に保証できず、ズレが生じる可能性がある。長期的に見ると、構造調整の効果は限定的で、資金の使用効率を悪化させる可能性もある。