最も気を落としているのはゴールドマン・サックスだろう。孫正義は、馬雲の最初の恩人ではない。馬雲を本当に見出したのはゴールドマン・サックスだった。馬雲の起業は1999年3月だが、ゴールドマン・サックスはその年の10月、フィデリティ・インベストメンツなどと共同でアリババに500万ドルを投じ、困難な起業期にあった馬雲を助けた。
だがその後、世界のインターネットバブルがはじけると、ゴールドマン・サックスは、インターネットへの自信を失っていった。2004年には、アリババ株のすべてを2200万ドルで譲渡し、両社は正式にたもとを分かった。ゴールドマン・サックスが今回のIPOで演じたのは、アンダーライターの一つという役割でしかない。
米IDG(International Data Group)は、IT出版や調査、展示会、ベンチャー投資などを手がける世界最大級の企業。騰訊(テンセント)や百度など中国の多くのインターネット企業の投資に成功したが、アリババは逃した。IDGアジア地域の熊暁鴿総裁は2007年、インターネット企業の会合で、「IDGは中国で多くのインターネット企業に投資しているが、アリババはそこから漏れてしまった。私たちの最大の失敗と言える」と述べた。