米フォーブス誌(電子版)はこのほど、「中国に迫る牛乳大戦」と題する記事を掲載した。内容は下記の通り。
中国は、牛乳大戦を控えている。二つの相反する力が、戦局の動向を左右しようとしている。欧米化と30年に渡る開放により、中国人の牛乳の需要が拡大している。その一方で、毒入り粉ミルクのスキャンダルの影響が尾を引き、本国の牛乳ブランドが不安視されている。この二つの力の相互作用により、中国の乳業に劇的な変化が生じている。事実上、個人の畜産農家のほぼすべてが乳牛を手放している。乳牛が100頭未満の小型牧場が6割の生産量を占めているが、政府と銀行の働きかけにより、ほぼ毎日大型の民間乳牛牧場が誕生しており、それぞれ1万頭以上の輸入乳牛を飼育している。
中国の牛乳生産量は2012年に3740万トンに達し、世界3位となった。しかし中国の牛乳消費量の14.3%は輸入に依存しており、来年は34.5%に上昇する。中国の世界粉ミルク市場における購入量は、昨年3分の2に達した。中国は今年上半期、ニュージーランドから75万トンの粉ミルクを輸入したが、これは昨年の輸入量に相当する。
しかし中国人の1人当たりの牛乳消費量は年間30キロのみで、隣国の日韓は70−80キロに達する。中国人は牛乳消費量を倍にする準備を整えており、そのための資金も保有している。自国では自給自足困難という圧力があるため、中国では牛乳も粉ミルクも世界平均価格を上回っている。
これは国内外の投資家が、この潜在的な「黄金の国」の攻略に意欲を示している理由だ。たとえばダノン、中糧集団、蒙牛乳業、フォンテラ、ビーイングメイト、伊利集団、ネスレなどの企業だ。また、アイルランド、デンマーク、ドイツ、フランスなどの欧州諸国が増産に勤しんでいるが、そのほぼすべてが中国に輸出される。
オーストラリアは、オーストラリアから輸出される大量の乳牛により、中国は5年内に牛乳の自給自足を実現すると発表した。中国は10−15年内に、輸出の主な競争相手国になるというのだ。データによると、中国の乳製品市場の規模は2019年に700億ドルに達し、米国を抜き世界一になる見通しだ。それ以降は、20年前ならば取るに足らなかった中国の乳業が輸出の支柱になり、比類なき規模の経済と価格決定権を持つことになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年11月7日