物流の最後の1キロを担当する王さん(22)は、配達員の大軍の一員だ。
王さんは、「配達員になって3年半になる。毎年の11月11日(独身の日)は特に忙しく、しかも年を追って忙しくなってきている。ここ数日の配達量は1日300件以上で、毎日未明まで忙しく働いている。このような日があと何日かは続くだろう」と語った。
王さんは独身の日に対して、複雑な感情を抱いている。王さんは、「独身の日がなければ、この収入はなかったはずだ。しかしこのお金を稼ぐのは容易なことではない。今月の収入は1万元を超えるが、普段はそれほど多くもらえない」と急いで言った。
しかし配達員の王さんは、自分がエコノミストの雇用に関する大きな謎を解く鍵になりうることを知らない。
李克強総理は9月10日、夏季ダボス会議で経営者と対話した際に、「今年8月時点で、中国の都市部の新規就業者数は1000万人に迫った」と表明した。これは2014年の都市部新規就業者数の目標がほぼ達成されたことを意味し、李総理も胸をなでおろした。
王さんは毎年1000万人規模に達する新規就業者数の大軍の一員だ。王さんは低学歴で、同郷者と共に北京を訪れ、建築現場でタワークレーンを操縦した。両親から危険と反対され、半年だけで辞職してしまった。
タワークレーンに象徴される不動産・工場などの建設業界と製造業は、2014年にモデルチェンジの苦境を迎えた。これらの業界はかつて、中国で最も多くの労働者を受け入れていた業界だったが、今や喘ぎ声を出している。そればかりではない。中国経済は高度成長期を終え、7.5%前後というやや高め区間に入っている。
経済成長率がやや低下しながらも、雇用が増加している。これは10年前であれば、多くのエコノミストにとって想像しがたいことだった。当時の中国は、GDPのみを重視する雰囲気に包まれていた。多くの人は、経済成長率が8%を下回れば、雇用に問題が生じ、社会的な矛盾が表面化すると判断していた。
しかし2014年に、これらのすべてに変化が生じた。