米国が積極的に推進しているTPPは中国を除外しているため、中国にとっては挑発的な意味合いが強い。海外もこれを、「疎外される中国」と解釈している。しかしオーストラリアと中国の自由貿易協定の交渉終了により、TPPの12の加盟国のうちすでに8カ国が、中国と異なる形式の自由貿易協定を締結しており、TPPが中国にもたらす一部の問題を解消していることが分かる。ある意味「中国を疎外する」の過程において、TPPの残された4カ国が「疎外」されているのは自分と気づくようになるかもしれない。
中豪自由貿易協定は、国内に「ボーナス」をもたらしうるほか、中国の全体的な自由貿易区戦略にとっても重大な意義を持つ。オーストラリアはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の加盟国であり、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の加盟国でもある。APEC北京会議は、アジア太平洋自由貿易圏の交渉再開を決定したが、これは中国にとって大きな利益を生む。中豪のより緊密な結びつきにより、双方は今後APEC自由貿易の場を構築する際に意見を統一できるようになる。これは中国の発言権の強化を促す。
中豪より先に、中韓自由貿易区の交渉も終了した。これは中日韓自由貿易区の交渉を促すことになる。隣国である中国が、日本にもたらすビジネスは多い。日韓の産業は高度に重複しており、鉄鋼業、ハイテク、造船などの産業において、日韓企業の代替可能性が高い。中韓が率先して自由貿易協定の交渉を終了したことで、日本に悪影響が生じることは避けられない。特に日本経済は、マイナス成長を続けているのだから尚更だ。この客観的な情勢下、中国の孤立化に加わり続けようとするならば、より大きな犠牲を強いられるだろう。
日本の他に中国と自由貿易協定を締結していないTPP加盟国には、米国、カナダ、メキシコがある。これは事実上、中国と北米自由貿易協定の関係だ。中豪の交渉終了を受け、カナダも交渉に動き出す可能性がある。将来的に、画期的な進展がないとは限らない。
大経済体との自由貿易協定を巡る交渉においては、各国の利益に大きなばらつきがあり、共通認識を形成しがたい。中国はこれまでの方針を継続し、全体的な統一が困難である以上、一部から着手するべきだ。反発が大きければ、別の地域で突破口を見出し、最終的に開放拡大の目的を実現する。これは「中国の知恵」と呼ぶことができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月24日