もう一つには、政策の働きかけがある。政府関連部門は2014年9月30日、不動産融資の新制度を発表した。中央銀行は同年11月下旬に金利引き下げを発表した。この2つの時期の後に、不動産市場の回復傾向が最も顕著だった。この2つの力強い政策が、今回の市場回復を促した主因であることが分かる。これと比べ、市場の自発的な回復の要素は十分でない。
この2つの特徴により、市場回復の真相が一線都市や個別の人気都市のみに存在していることが分かる。また政策の効果が薄れると同時に長期連休を迎えることで、この回復の勢いは打ち切られ、終了する可能性さえある。国家統計局のデータによると、2014年1―11月の全国分譲住宅販売面積は10億1717万平方メートル、分譲住宅販売額は6兆4481億元となった。過去のデータと比べると、これは2013年同期に次ぐ高い数値となっている。つまり2014年の不動産の成約件数は歴史的に見て高い数値を記録しており、今年の回復維持が困難であることになる。
当然ながら、金利引き下げや住宅購入規制の緩和は、短期的に市場に刺激をもたらし続け、その回復の勢いを長引かせる可能性がある。しかし住宅市場の中長期の情勢を楽観視できない、いくつかの要因がある。
まずは、供給過剰だ。長年に渡り、不動産投資、土地取得、新規着工などの指標が高い伸び率を維持し、不動産市場供給の大幅増をもたらした。現在多くの二・三線都市で「ゴーストタウン」が出現していることは、多くの都市の供給がすでに「消化」能力を上回っていることを意味する。これは債務返済の危機を引き起こす可能性もある。公式・民間データはいずれも、「供給過剰」で一致している。国家統計局のデータによると、2012年4月より、全国の分譲住宅の在庫数が29カ月連続で増加している。最少だった頃と比べ、近年の全国分譲住宅在庫数はほぼ倍増している。